ひねくれた感想です。 偏見が入っていますので、 あまり攻撃的に読まないでください。 |
●はじめに ●まずは、こんな文章を書くのは、いったいどの程度の奴だ、ということになりますので 私の将棋とコンピュータ知識の程度について明記しなければなりませんが、 少し長くなるので、下記(注1)を参照ください。 ●ネットを見れば多くの意見がありますので 一般的な意見はそちらに譲るとして、 ここでは、「こんなことを言うのは、おそらく私だけだろう」 と思われる私見を書くことにします。 「なんだ、この程度の奴がえらそうに」 と思われる方もいるでしょうが、 勘弁してやってください、「偏見に満ちた私見」 ですので。 ●電王戦とは ●将棋のプロ棋士と、コンピュータ将棋ソフトが対戦する公式戦です。 2013年、3月23日から4月20日にかけて、毎週土曜日に対局が行われました。 全5回戦、対戦者は以下の通り。 ・第1局 阿部光瑠・四段 × 習甦(しゅうそ) ・第2局 佐藤慎一・四段 × ponanza(ポナンザ) ・第3局 船江恒平・五段 × ツツカナ ・第4局 塚田泰明・九段 × Puellaα(プエラ アルファ) (旧ボンクラーズ) ・第5局 三浦弘行・八段 × GPS将棋 全内容はニコニコ動画で生中継されていて、私は第3、4、5局を見ました。(注2) 仕事でもないのに、パソコンの前に8時間以上もいたのは初めてです。 結果は、プロ棋士の1勝3敗、1持将棋。 ●これに先立つこと2012年に、将棋連盟の故・米長会長と将棋ソフト・ボンクラーズの対戦があり、 ソフトが勝利しました。 このとき既に、プロ棋士がコンピュータに勝つのは難しくなってきたという意見が少なからずありましたが、 今回、団体戦でプロ棋士が負け越したという事実を 目の当たりにして、ショックです。 ●プロ棋士とは ●思うに、日本最高の頭脳集団です。 例えば、数学の大学教授は日本に数千人はいるでしょう。 大学の数が仮に100として、各大学に数学の教授が10人いれば、それだけで千人になりますから。 それに対してプロ棋士は150人程度です。 小学生・アマ四段程度で奨励会入りし、将棋はもちろん礼儀などの修行を積み、 年齢制限前に競争を勝ち抜いたわずかな人たちがプロになれます。 進む分野が違っていればノーベル賞くらいはとれそうです。 ●私は、プロ棋士が好きです。 彼らは修行時代から礼儀なども厳しくしつけられます。 将棋は 「お願いします」 で始まり 「負けました」 で終わります。 自分で負けを宣言しなければならないのです。 (注3) 勝った棋士も、ガッツポーズなどは絶対にとりません。 (注4) 勝っても難しい顔をして、頭の中で一局を振り返り、「あの局面ではどうだったろうか」 という類のことを 考えているようです。 特に故・升田幸三・九段の豪快さが好きです。(注5) |
(注1)私の将棋とコンピュータ知識の程度 将棋は、まあ、初段程度としておきましょう。 テレビ棋戦のNHK杯は、中学生(1975年頃)から見ています。 最初に見た年に、大内延介八段(当時)が優勝して、それ以来ファンです。 大山の金底の歩、中原の矢倉、加藤の棒銀、内藤の空中戦、谷川の寄せ、羽生の四連覇、渡辺の初優勝 など見てきました。 あの升田幸三・九段の解説もありました。 コンピュータの知識については経歴を紹介するのがいいかと思います。 1984年、情報工学科卒業。 1984年に新卒で入社、コンピュータ・メーカーでPOS(お店にあるレジ)の組み込みソフトを開発。 1990年に転職、ソフトハウスで業務用アプリケーションを作成。 (2000年問題関連のプログラムもあったなぁ。) 1992年に再び転職、電機メーカーでインバータの組み込みソフトを開発。 現在は、パソコンやソフトの分野からは離れています。 したがって、コンピュータ、ソフトの基本的な概念はありますが、 最新の専門的なことは知りません。 私の知っている概念や用語は古いものでしょう。 (注2)将棋の対局 ニコ動では 「この手を打つ」 と言う方が何人かいましたが、 将棋は 「指す」 と言います。 「打つ」 のは 囲碁です。 この程度は常識だと思います。 (注3)負けを宣言 サッカー・ワールドカップ日韓大会、日本×トルコの試合で、日本負けの試合終了後、 中田選手が、「本当は勝っていた」 と言っていましたが、何の意味もない言葉です。 私はあの選手が今でも嫌いです。 (注4)ガッツポーズ 朝青竜など問題外です。 (注5)升田幸三・九段 どこまで本当かわかりませんが、エピソードをひとつ。 NHK教育・人間講座で故・米長会長が紹介していた話です。 戦後間もなく、GHQがプロ棋士を呼び出し、 「チェスにはクイーンという駒があって優雅だ。それに比べて日本の将棋は野蛮だ」 と言いました。 日本古来の文化を排除する、という基本戦略からです。 このとき升田先生、「クイーンとキングをナイトで両取りかけたらどうする?」 と聞き GHQの担当者が 「当然キングを逃がす」 と答えると 「それみろ、あなたたちは、優雅だとか、女性を大切にするとか言っているが いざとなったら逃げるじゃないか」 と返したそうです。 GHQの担当者、怒ると思いきや、 「お前なかなか面白いことを言う。 その知恵で何か我々に意見はないか。」 と言ったそうです。 (話せるひとだ。) そこで升田先生曰く、 「今、戦犯容疑で捕まっている政財界の要人を釈放しなさい。 そうすれば彼らば今後アメリカに恩義を感じて働くでしょう。 これが将棋でいうところの、取った駒を自分の駒として使うということだ。」 当時、GHQ相手に・・・・、こういうのを 胆 力 というのです。 この意見を取り入れて、というわけでもないでしょうが、要人とやらが釈放されたそうです。 |
No.1 | ・はじめに ・電王戦とは ・プロ棋士とは |
2013年 4月 27日 |
No.2 | ・初めてニコニコ動画を見て ・プロの読み |
2013年 4月 27日 |
No.3 | ・全5局を見て |
2013年 4月 27日 |
No.4 | ・激闘、第4局 持将棋 ・あじあじ考 |
2013年 4月 27日 |
No.5 | ・人工知能 ・コンピュータの能力とSF |
2013年 4月 27日 |
No.6 | ・将棋とプロ棋士への思い |
2013年 5月 20日 |
No.7 | ・余談ですが |
2013年 5月 20日 |