将棋・電王戦についての私見
− その2 −



初めてニコニコ動画を見て
プロの読み




ひねくれた感想です。
偏見が入っていますので、
  あまり攻撃的に読まないでください。



初めてニコニコ動画を見て

今回、電王戦で初めてニコニコ動画を見ました。
  画面にコメントが流れるのですが、これが実にうるさい、っと最初は思ったのですが、
  見ているうちにだんだん面白くなってきました。
  その大きな理由は、コメントの大半はプロ棋士を応援するもので、
  極端な誹謗・中傷がないことです。

「ネットは無法地帯だ」 と今まで考えていましたが、
  あながちそうでもないんだなぁ、と感じました。
  もっとも、たまに酷いコメントが流れることもあり、良心的とまでは言えませんが。

時間帯によって(つまり形勢によって)、画面に流れるコメントに、ある傾向が見られました。

プロ棋士、ソフトのいずれが優勢にしても、形勢に差がついたと思われる場面では、
  「終わった」、「フロはいろう」 という礼を失したコメントが流れます。
  誰に対して失しているかといえば、第一に対局者にです。
  第二に、コメントを読まされる多くの方々にです。

  フロに入るのは勝手ですが、何も公に発信することは無いと思います。
  私だって、サッカー中継を途中で切り上げて風呂に入りますが、人に毒づいたりはしませんよ。
  思うに、公(おおやけ)の概念に乏しいのでしょう。
  無法地帯 というよりも、幼稚 と言った方がいいかもしれません。

  それに 「終わった」 ってあなた・・・・、
  勝負がつくのは、このようなコメントが流れてから数時間後です。

もう一種類、まだ勝負がついていないのに、「もう羽生しかいない」 という類のコメントも
  以外と多く流れました。
  対局者の姿を見ていながら、こんなことを言うとは。
  大魔神怒る。

良いコメントも流れました。
  今回プロ棋士は、3人が負け、1人が引き分けでしたが、
  いずれの場合も対局の終了後、「プロってすごい」、「かっこいい」、「○○さんが好きになりました」
  というコメントが多数流れました。
  おそらく普段は将棋を見ない方も多かったろうと思いますが、
  プロ棋士の姿を皆さんに見てもらえて、その姿に感銘を受けた方が多くいらして
  私もうれしかった。


プロの読み

プロ棋士に対する愚問の代表に 「何手先まで読むのですか」 というのがあります。

  本で読んだか、NHK杯で聞いたか忘れましたが、
  ある局面を見たとき、そこから数十手先はすぐに 「見える」 のだそうです。
  この 「見える」 というのは 「直観」 とも違うようです。

  「読む」 のはその先、果たして 「その先」 で良い手があるかどうか、
  または良い局面をむかえられるかどうかを考えているわけです。

対局と同時進行の大盤解説があります。
  プロ棋士が軽く5,6手の読み筋を説明すると、
  画面には 「ほー」、「プロってすげー」 というコメントが流れるのですが、
  こういう方達は初めて将棋の解説を見るのでしょう。
  あんなのプロにとっては、読みという以前に一目でわかることなんですよ。
  プロ棋士は、頭の構造からして凡人とは違うんです。

これは私の “感じ” なのですが、プロ棋士は、数学者 または 詩人 に近いと思います。
  「将棋は数学だ」 と断言する研究者もいて、実際、将棋は 「二人零和有限確定完全情報ゲーム」
  というものに分類されるそうです。
  知ったかぶって載せてみました。ゲーム理論なんて知らないですけど。
  ですから、数学者に近いというのは外れていないと思うのです。

  問題は 「詩人」 の方ですが、将棋の手には、良い手・悪い手の他に
  「斬新な手」、「大胆な手」、さらには「我慢の手」、「怒った手」、「品の無い手」 などというのがあります。
  もっとも、最近は勝ち負けが大事で、「品」 という感覚は廃れているようです。
  しかし、数学的な読み以外に、独創性や、棋譜に美しさを感じるところは詩人的でしょ、
  って誰も賛同しないかもしれないけど。

19世紀、アイルランドの数学者でハミルトンは、
  数学は詩と同じで抽象性、永遠性があると考え
  数学の講義の中にも、やたらと詩の朗読を入れたそうです。










No.1 ・はじめに
・電王戦とは
・プロ棋士とは
2013年 4月 27日
No.2 ・初めてニコニコ動画を見て
・プロの読み
2013年 4月 27日
No.3 ・全5局を見て
2013年 4月 27日
No.4 ・激闘、第4局 持将棋
・あじあじ考
2013年 4月 27日
No.5 ・人工知能
・コンピュータの能力とSF
2013年 4月 27日
No.6 ・将棋とプロ棋士への思い
2013年 5月 20日
No.7 ・余談ですが
2013年 5月 20日