将棋・電王戦についての私見
− その3 −



全5局を見て



ひねくれた感想です。
偏見が入っていますので、
  あまり攻撃的に読まないでください。



全5局を見て

将棋の内容・解説は専門家のホームページなどがありますので、そちらを参照ください。
  私などがどうこう言えるものではありません。
  ここでは、素人なりの感想を書きます。

まず、5局ともソフトの仕掛けの早さが印象的です。

  将棋の格言でも 「攻めの駒は、飛車、角、銀、桂」 といいますが、
  今回のソフト側の仕掛け(=攻撃開始)は、プロ棋士側の守りの陣形ができているところへ
  銀または桂馬の単独の突貫が行われ、
  いわゆる 「攻めが細い」、「無理攻め」、「腰の入っていない攻め」 のように見えました。

  「えっ、ここでもう仕掛けるの?」 という感じです。

  このときは、大盤解説者も、会場の人も、ニコニコ動画を見ている人も、控え室の検討陣も
  「おー、ここでいったか」 という感想を持ったようです。
  実際に 「おおー」 という声が会場から聞こえました。

プロ棋士もこの傾向を研究していて、第1局ではソフト側がプロ棋士側の術中にはまり
  プロ棋士先勝となりました。
  しかしながら、第2局以降は、「ソフトのこの攻めは成立しないだろう」 という検討陣の予想に反して
  ソフト側が攻めをつなぎました。

第2局、第3局は、さすがにソフトの無理筋で、プロ側優勢だったものの、
  専門的には難しいのでしょうが、
  人間の 「疲れる」 という弱点が出て、
  プロ棋士側の負けとなった次第です。

第4局は別途、詳述します。

第5局は、プロ棋士先手での相矢倉。(注1)
  プロ同士なら普通は、先手の攻め、後手の受け、という展開になります。
  「先手が攻めきれるか、後手が受けきれるか」、「後手がどこで反撃に転じるか」
  というところが見どころなのですが、後手のソフトから先に、銀の攻め。
  桂馬は参加せず、なのですが、この攻めが成立するなら、
  今までの定跡はどうなってしまうのでしょう。

今回の対局は、「人間 対 コンピュータ」 だったわけですが、
  大盤解説者も、控え室の検討陣も、会場の方達も、ニコ動を見ている人も
  さらには、ソフト開発者自身も、
  多くの人はプロ棋士、つまり人間を応援していたようです

  対局中の要所々々で 「どちらが優勢だと思いますか?」 というアンケートの質問が出て
  ほとんどの局面で 「プロ棋士側が優勢」 という答えが多かったのですが、
  プロ棋士をひいき目にみている傾向は明らかでした。

  やはり皆、人間に勝って欲しいんだなあ。

全対局を通して、勝ち負けや将棋の読み筋以上に、プロ棋士の精神力に心打たれました。
  ほとんで正座で、表情が見えるとはいえ、目だった動きもないのに、必死さが伝わりました。
  対局者の皆さん、お疲れ様でした。


(注1)相矢倉
  プロ、アマ問わず、昔から一番人気の戦法。
  私も好きです。
  私の個人的なつきあい、スキー友の会の 「セラン・604号の決戦」「浦新の雪辱戦」 でも
  何度か指されました。

  私が中学生の頃、矢倉の大家として4人が不動の地位にいました。
  中原誠、米長邦雄、加藤一二三、有吉道夫です。 (敬称略)

  一二三は、“ひふみ” と読みます。 今、ファンの間では 「ひふみん」 と呼ばれて人気者のようです。
  なんだかなぁ。



No.1 ・はじめに
・電王戦とは
・プロ棋士とは
2013年 4月 27日
No.2 ・初めてニコニコ動画を見て
・プロの読み
2013年 4月 27日
No.3 ・全5局を見て
2013年 4月 27日
No.4 ・激闘、第4局 持将棋
・あじあじ考
2013年 4月 27日
No.5 ・人工知能
・コンピュータの能力とSF
2013年 4月 27日
No.6 ・将棋とプロ棋士への思い
2013年 5月 20日
No.7 ・余談ですが
2013年 5月 20日